来年3月4日にあきた芸術劇場ミルハスで上演される舞台「巌流島」に佐々木小次郎役で出演する歌舞伎俳優中村隼人さんが14日、ミルハスを訪れました。隼人さんは会場となる大ホールを見学後、インタビューに応じ、公演への抱負やミルハスの印象を語りました。
隼人さんは1階席後方から大ホールに入り、客席を見てから舞台に上がりました。ホール内では自ら声を出して音響を確かめ、響き具合に感心しきり。ステージの広さも確認し、漂う秋田杉の香りを感じ取っていました。ホールの神棚に手を合わせ、公演の成功を祈願しました。
巌流島は江戸時代初期の1612(慶長17)年、宮本武蔵と佐々木小次郎という2人の剣豪が対決した巌流島の決闘を新解釈・新設定で舞台化します。インタビューに応じた隼人さんは、物語の冒頭で出会った武蔵と小次郎が互いを意識し合い、決闘に至るストーリーが描かれていると紹介。2人の心の動きや殺陣などが見どころになるとしました。
歌舞伎以外の大きな舞台への出演は初めてということでしたが、所作や殺陣など「(歌舞伎で)やってきたことが絶対に生きると思う」と強調。「今の自分には、静かに闘志を燃やす小次郎役は合うのではないか」とし、「台本を読んだ感じだと武蔵は(感情を)あまり表に出さない。だからこそ小次郎が武蔵を意識している、心が通じ合っているという芝居をすることが大事。(2人の)距離がどんどん縮まっていく様子を表現したい」と抱負を述べました。
初共演となる武蔵役の俳優横浜流星さんについては「めっちゃ男くさい雰囲気を持っている。僕の方が、がたいがいいが、線は彼の方が太い」と印象を語りました。
ミルハスについては秋田杉や秋田の伝統工芸品を取り入れていることに関心を示しました。「できたばかりだが伝統を感じた。時代物の舞台とすごく相性がいいと思う」と話し、上演に向けて気持ちが高まった様子でした。
巌流島は、来年2月10日の東京・明治座を皮切りに全国8カ所で上演されます。2020年に全国公演が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染の影響で中止となり、2年半の時を経て上演されます。