德永英明さんのミルハスグランドオープン記念プレミアムアコースティックコンサートが9月24、25の両日、大ホールで開かれた。
德永さんの熱い「秋田愛」が随所にちりばめられ、公演タイトルにうたわれているようにミルハスの開館を祝うプレミアムで、スペシャルな2daysだった。
開演のため、ホールの照明が落とされるとざわついていた客席が静寂に包まれる。ステージ中央のスクリーンにミルハス内部が映し出される。大ホール後部の扉を開けて、德永さんが客席に入る。時に立ち止まりホールを見渡す。そしてステージへと歩を進める。ステージに立った瞬間、スクリーンが上がり、德永さんが登場する。客席からは大きな拍手が沸き上がった。
今回のコンサートは、全国ツアーが予定されていない中での、ミルハス開館を記念した特別な企画。アコースティックコンサートと銘打ち、ギターとピアノによるシンプルな構成。秋田杉の木レンガと柔らかな曲線による高い音響性能が特徴の大ホールに、德永さんの圧倒的な歌唱力とバラード中心の選曲が見事に調和し、オーディエンスの心にぐっと染み入った。
途中、「ミルはフランス語の千を、ハスはミルハスに隣接するお堀の蓮を意味するんだよ」とミルハスの由来を説明、ミルハススタッフにとっては感涙もののMCだった。
德永さんの秋田への思いが込められていたのが、休憩明けに流れた映像。8月に秋田を訪れた際に撮影された。秋田市での竿燈体験のほか、男鹿や角館の道の駅などにも足を延ばした。驚いたのは德永さんのスイーツ愛。各所でソフトクリームを手にし、計6個を食していた。その中には秋田ならでの「ババヘラ」も。「しったげ、うめー」と秋田弁を口にし、客席が沸いた。
映像が終わり、スクリーンが上がると、サプライズが。秋田市のアトリオン少年少女合唱団の22人がステージ後方に並んだ。秋田県民歌を含む3曲を共演。德永さんと子供たちが歌う県民歌は県外からのオーディエンスにも、秋田を強く印象付けた。
コンサートでは、自身のキャリアを代表するヒット曲にカヴァー曲も織り交ぜ、長く德永さんを応援してきたファンのみならず、今回初めて足を運んだというファンも楽しめる内容だった。公演前のインタビューで話していたように、まさに「皆さんが心の中で口ずさめるような」選曲だった。
アンコールで登場した德永さんのMC。「コロナには早く退散してもらいたいです。来年皆さんがマスクをはずせることができれば、『德ちゃーん』ってまた声を掛けてもらえると思います。(今回のコンサートは)2日間とも完売です。これも秋田県民の力です。秋田最高!!」と語り、客席のボルテージは最高潮に達した。
最後の曲が終わると、スクリーンが降り、県民会館の解体から、ミルハスが完成するまでのスライドとともに、1992年から2017年までに開かれたコンサートツアーの旧県民会館での開催日が流れた。
エンドロールが終わると、德永さんの声が会場に響いた。「また会いましょう」。
◇ ◇
德永さんは秋田への熱い思いを持ち、ファンの間では秋田は“聖地”との声も聞かれます。その思いがぎっしりと詰め込まれた2日間でした。今回のミルハス開館記念コンサートがファンの間で語り継がれる一つとなってほしいと思います。
今回初めて德永さんのコンサートに参加しました。唯一無二のハスキーボイス、メロディー、歌詞、ファンへの対応、照明、音響、舞台、すべてに魅了されました。開館記念コンサートを受けていただき本当にありがとうございました。また大ホールでのコンサートを心待ちにしております。
(あきた芸術劇場ミルハス副館長・伊藤毅)