俳優の風間杜夫さん(76)による落語公演「風間杜夫の落語会inミルハス」が4月29日、ミルハス中ホールで開催される。30年近く独学で落語の腕を磨いてきた風間さんが、秋田で初めて高座に上がる。ゲストは仙北市出身の真打・柳家小平太さん(57)。風間さんと小平太さんの2人が都内で対談し、落語の魅力などについて語り合った。

―風間さんが落語をやり始めた当初のエピソードを教えてください。
風間 舞台やテレビ以外で初めて高座に上がったのは50歳の時。新宿の紀伊国屋ホールで行われた立川談春師匠の独演会で、「湯屋番」をやりました。ひとり芝居の旅公演の最中に噺を覚えて、公演スタッフたちの前で披露して練習しました。紀伊国屋ホールはつかこうへい事務所のホームグラウンド。だから僕にとっては慣れ親しんだ舞台でした。もしプロの噺家さんの二ツ目の立場で高座に上がっていたとしたら、もっと緊張したでしょうね。
小平太 湯屋番は妄想がどんどん膨らんでいく噺で、最初のネタとしては結構難しいですよ。実は僕が二ツ目になったばかりのころの11年前くらいに、風間さんが出演した落語公演の前座を務めたことがあります。会場に、おそらく風間さん目当ての女性たちがわーっといたのを覚えています。風間さんの演目は「居残り佐平次」で、本当に軽快で素晴らしかったです。
―小平太さんが入門して間もなかったころはどんな苦労がありましたか。
小平太 34歳で柳家さん喬師匠に入門して、見習い、前座の時代は毎日、眠い目をこすりながら朝9時までに師匠宅に伺いました。最初のころは「おはようございます」のあいさつでさえ、「違う」と言われ、やり直してもまた「違う」と言われる。この繰り返し。お稽古では15分の噺を1~2時間かけて師匠に見てもらう。もちろんずっと正座で。しびれましたねえ、今は平気ですが。

風間 前座さんから二ツ目、真打になるまでのご苦労といったら計り知れないですね。風間さんもどこかの一門に入って修業したらとよく言われますが、落語は好きでも落語家になりたいと思ったことは一度もないんです。僕は俳優なので、師匠はつかこうへい。何かを演じるのが好きで、高座では噺家を演じています。
―高座で心掛けていることは何ですか。
風間 四半世紀にわたって続けているひとり芝居公演も、たった一人で舞台に立ち、見えない人間をお客さんに想像してもらう点は落語と共通しています。けれども、落語はお芝居と違って照明の変化も舞台転換も、衣装替えもない。言葉だけで状況を伝えなければなりません。だから、落語を通して勉強になったのは、せりふに表情を持たせるということですね。
小平太 落語家は演目の主人公であり、脚色家であり演出家である。一人で全部やるので、ものすごく神経を使います。心掛けているのは、口先だけでしゃべらないこと。自分が場面を想像していないとお客さんにも伝わりません。目の前に存在しない湯呑を、畳の上に置くのか膳の上に置くのか、茶だんすはどこにあるのか、全部頭の中に描いています。冒頭のせりふで一気にお客さんを噺の世界に引き込みたいですね。
―好きな落語のジャンルや十八番のネタについて教えてください。
風間 僕が好きなのは江戸落語の滑稽噺で、「火焔太鼓」をやる機会が多いです。役者だから人情噺を覚えたらいいと言われて「芝浜」も覚えたんですが、自分で語りながら涙が止まらなくなりました。小平太師匠も滑稽噺の持ちネタが多いようですね。
小平太 滑稽噺は大好きですし、風間さんが舞台でやった「野ざらし」をよくやります。いつかミルハスで落語会ができればいいなと思っていましたが、まさか風間さんとご一緒できるとは。真打として恥ずかしくない芸を見せたいと思っています。私としても風間さんの落語をとても楽しみにしています。
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【風間杜夫の落語会inミルハス】
日時:2026年4月29日(水・祝)14:00開演(13:30開場)
会場:あきた芸術劇場ミルハス中ホール
料金:一般 3,500円、学生1,500円 ※全席指定
出演:風間杜夫、柳家小平太
▼プレイガイド
・ミルハス公式サイト
・ミルハス1階管理事務室(9:00~17:00)
・電話予約(ミルハスTEL:018-838-5822/9:00~17:00)
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■風間杜夫(かざま・もりお) 1949年東京生まれ。59~66年子役として活躍。早稲田大学演劇科、俳小養成所を経て、71年「表現劇場」を旗揚げ。77年より「劇団つかこうへい事務所」作品に多数出演。映画「蒲田行進曲」(82年)で人気を博し、ドラマ『スチュワーデス物語』(83年)教官役で一世を風靡。97年から落語にも取り組み、毎年数多くの高座に上がっている。
■柳家小平太(やなぎや・こへいた) 1969年仙北市生まれ。劇団わらび座の劇団員だった両親の間に生まれ、幼少期をわらび座の寮で過ごす。2003年柳家さん喬に入門、前座名「さん作」。07年二ツ目昇進、「さん若」に改名。14年第25回北とぴあ若手落語家競演会「北とぴあ大賞」受賞。18年真打昇進、「小平太」を名乗る。大曲農業高卒。