秋田県埋蔵文化財センター講演会が10月14日、あきた芸術劇場ミルハスの小ホールAで開かれました。國學院大學文学部史学科の谷口康浩教授が「遺跡から読み解く縄文人の世界観」というテーマで研究成果を披露。考古学の愛好者ら約80人が熱心に聴き入り、質問も相次ぎました。
谷口教授は、縄文時代の柄鏡形(えかがみがた)住居と環状列石の構造上の類似点や、手間と時間をかけて行われたと考えられる葬送儀礼について説明。縄文人が内と外の境界や、この世とあの世の境界を大切にしていたととらえ、「それら目に見えないものを可視化して共有する儀礼の実践が集団として重要だった」などと話しました。環状列石や三内丸山遺跡(青森県)の6本柱巨木柱列といった構造物の向きや埋葬された人骨の向きと、冬至や夏至の日の出・日の入りの方角との関係から、「(縄文人は)季節の循環や生命力の再生を強く意識していた」という見方を示しました。
秋田県埋蔵文化財センター講演会は11月4日(月・振替休日)にも開かれます。演題は「新しい研究方法から見た縄文時代の生業と社会」。講師は、東京都立大学人文社会学部人文学科の山田康弘教授です。聴講希望は、同センター(電話:0187-69-3331)で受け付けるそうです。