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【スタッフブログ】「劇場へ行こう」#046 ジュークボックスの思い出

2023.11.24

 ジュークボックスを初めて目にしたのはいつだったか。中学生のころだったと思う。田舎の百貨店。ゲームコーナーの片隅にどっしりと鎮座していた。1曲10円だったはず。誰がかけたのか。秋田出身のグループ・マイペースの「東京」がよく流れていた記憶がある。♬東京へはもう何度も行きましたね 君の住む美し都♬の歌詞が心に残る。

 「youth in the “JUKEBOX”」とサブタイトルのついたロックシンガーのコンサートを観るため、横浜アリーナを訪れた。10歳以下、10代の若者たちもいたが、観客の多くを占めたのが50代、60代のファン。このシンガーとともに青春時代を過ごし、ともに年齢を重ねてきた世代である。

 「わが青春のジュークボックス」と銘打たれた通り、50代、60代が青春時代真っ盛りのときに聴き、胸躍らせ、心震わせたナンバーが並んだ。ジュークボックスを見かけることはもうほとんどなくなったが、あの頃の歌はしっかり心の中に残っている。

 曲の合間に、いま再び「カセットウオークマン」が流行しているという話をしていた。カセットテープを捨てなければよかったとも。レコードからCD、そしてインターネット配信の時代へ。技術は日進月歩であり、生活もどんどん便利になった。それでもなお、いまや時代遅れとなったものがまたスポットライトを浴びることがある。あえてアナログレコードを制作、販売するアーテイストもいるほどである。カセットウオークマンもその一つであろう。

 押入れの奥にきっと青春時代の思い出が詰まったカセットテープが入った段ボール箱があるはずだ。ウオークマンはどこかへいってしまったが、使わなくなったとはいえ、幸いなことにカセットデッキは残っている。次の休みには押入れの奥を探してみようか。ロックシンガーのレコードからお気に入りの曲を集めたテープもきっとあるはず。CD、DVDもあるが、コンサートを契機にまたカセットテープを聴いてみようという気になった。

 そういえば、このロックシンガーにも「東京」という曲がある。♬満員電車 疲れ果てた顔♬と都会を風刺する歌詞が印象的。田舎のジュークボックスでよくかかっていた曲と同じタイトルではあるが、全く違う都会の風景、物語が歌われている。それでも何だか妙な縁を感じざるを得ない。