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【スタッフブログ】「劇場へ行こう」#044 おかえりなさい 德永さん

2023.10.24

「ただいま、秋田」―。德永英明さんがオーディエンスに声を掛けると大きな拍手とともに、「お帰り」の声が沸き上がった。昨年9月24、25日以来、1年ぶりに德永さんが帰ってきた。「Hideaki Tokunaga Concert Tour 2023 ALL BEST 2」が10月21日、あきた芸術劇場大ホールで開催された。

 昨年のコンサートでは「また会いましょう」との言葉とともにステージを降りた德永さん。しっかりとその約束を守ってくれた。昨年はミルハスの開館を祝って開かれた特別な公演で、曲目の構成、映像を含めすべてが「秋田バージョン」のまさにプレミアムでスペシャルな2日間だった。特にファンから“聖地”と呼ばれている秋田での公演でもあり、反響も大きかった。

 今回はALL BESTと銘打たれているように、自身の代表曲がずらりと並び、長年のファンのみならずとも楽しめる構成。德永さんのハスキーボイスは時に力強く、時に柔らかくホールに響き渡った。実力派のアーティストのパフォーマンスを鑑賞するたびに、ミルハス大ホールの音の響きの良さを実感せざるを得ない。手前味噌ながら、ここ秋田の地に素晴らしいホールができたことを感謝し、再認識する瞬間でもある。

 歌のパフォーマンスが中心で、MC(曲の間の話)は少なかったが、それでも「たけやのバナナボート知ってる? 横手焼そばは?」と問いかけたり、「昨晩はきりたんぽを食べたけど、おいしかった」と話したり秋田にちなんだ話題も散りばめてくれた。

 スクリーンに歌詞が映し出され、德永さんが「一緒に歌ってくれる」と呼び掛ける場面があった。オーディエンスはそれに答え、ホール内は大合唱となった。德永さんからは「しったげ、うめぇがった」との声が上がったほど。昨年のコンサートは新型コロナがまだ猛威を振るっており、マスク着用、掛け声はしないなどの制約があった。それが今回は5類に移行したことで、掛け声も解禁され、やっと本来のコンサートを楽しめるようになった。

 世の中に目を向ければ、新型コロナは依然として収束には至っていない。世界では戦争や紛争が起き、家族とばらばらになったり、生まれたところを追われている人たちがいたりする。混沌とした世界はどこへ行こうとしているのか。先行きは不透明である。

 ♬本当の幸せ教えてよ♬ と歌った德永さん。幸せの定義は人それぞれであろう。それでも世界の人たちが「生きていてよかった」と思えるような世の中になってほしい。客席で一緒に歌を口ずさみながらそんなことを考えた。