3月は一緒に仕事をしてきた仲間たちとの別れの季節でもある。あきた芸術劇場ミルハスでも、定期人事異動で3人がそれぞれの出向先に戻るほか、2人が退職し新天地へと飛び立つ。仲間との別れはつらいが、異動は社会人の宿命でもある。ミルハスで培った経験を存分に活かし、新たな部署で一層活躍してほしい。
4月1日付で異動するのは、企画事業・広報課の佐々木周平さん(県総合公社)、下村直也さん(秋田魁新報社)、戸松秀樹さん(スペースプロジェクト)の3人。
佐々木さんは唯一、旧県民会館時代から自主事業の企画、貸館業務を経験。ミルハス開館に当たっては、まさに獅子奮迅の活躍であった。他の職員がまったくの未経験者だったこともあり、肉体的にも精神的にも相当な負担になったはずである。職員に劇場運営のノウハウを基礎から教えてくれたことはもちろん、率先垂範してプロモーターとの折衝にもあたってくれた。まさに劇場の“心臓”ともいえる存在であり、彼なくして開館以降の業務がスムーズに進行できたかは甚だ疑問であるというのが、職員一同の思いである。
明るい性格で、冗談も飛ばし(時には滑ることもあったが)、事務所のムードメーカーとして大いに盛り上げてくれた。まだ幼稚園に通うお嬢さんの父親でもあるが、ここ半年間は仕事に追われ、家族団らんの時間も少なかったはず。4月からは家族との時間も大切にしてほしい。
下村さんは魁新報社での記者経験を活かし、ミルハスの各種広報業務を担当した。季刊で発行している「ミルハスタイムズ」の執筆のほか、県内報道機関への情報提供、ホームページの更新まで幅広い分野を受け持った。
一方で、これまで経験したことのない事業の企画立案、チケット販売などもこなした。ある事業では往復はがきでの申し込み受け付けを担当。人気の高い事業で、連日続々とハガキが届くと、その山の前に驚愕、布団に入ってもうなされる日があったともいう。
50代とは見えないルックスで、言葉少なに黙々と仕事をこなす姿に、送別会では事務所内の女性陣から「優しい」「頼りになる」「もっと一緒に仕事をしたかった」との声が寄せられた。もっとも本人はいつものようにクールに、はにかむように受け流し、冗談を言うでもなく、最後まで自らのイメージを壊すことがなかった。
戸松さんは、ミルハス利用者との打ち合わせが仕事の中心だった。スペースプロジェクトでは舞台スタッフとしての仕事に長く従事。その経験を活かし、ステージに立つ人たちやスタッフに懇切丁寧に、備品一覧や使い方などを説明。初めての利用者も多かったが不安を取り除く役割を果たしてくれた。
3月に入ってからは体調を崩し、療養しているが、一日も早い回復と職場復帰を祈るばかりである。
岩間加奈さんは、ミルハス利用の受付業務を担当した。利用希望者からの連絡を受け、ホールの空き状況などを確認、空いていれば、利用までの手続きを進め、さらに利用後の料金請求までを受け持った。利用者それぞれの希望にできる限り添う形で本番日を迎えることができるように、まさに“痒い所に手が届く”ようなきめ細かな対応をしてくれた。
4月からはご主人とともに山形市での新しい生活が始まる。新天地でも幸せな生活を築いてもらいたいと職員一同願っている。
石川満寿美さんは、総務課に所属。利用者が支払った料金の管理、さらには銀行への預け入れなどを受け持った。朝の開館前には、晴れの日も、雨の日も、雪の日も重いバッグを引きながら、駐車場の精算機まで行き、前日の利用料を回収するとともに、お釣りなどを補充していた。劇場という一見派手な施設ではあるが、こうした総務部門の担当者がいることで、劇場の運営ができるのである。
新たに秋田市浜田で雑貨と花卉を扱う店の開業を目指す。ホルモン定食でおなじみの「館の丸食堂」の向かいに店を構える。開店予定は5月。近くにおいでの際はぜひ立ち寄ってほしい。