バッハやショパン、ベートーベンから音楽ユニットのスキマスイッチまで、クラシックを中心に多彩な楽曲が次々と大ホールに響いた。先日、あきた芸術劇場ミルハスで、初めてピアノマラソンが開かれた。県内の34組が世界的なメーカーであるスタインウェイのフルコンサートグランドピアノで演奏を披露した。
参加者はライトに照らされ、まばゆいばかりに輝くステージに一組ずつ上がった。その表情からは緊張が見て取れた。無理もない。大ホールでは昨年9月のグランドオープン記念特別公演で、日本を代表するピアニスト小山実稚恵さんが新日本フィルハーモニー交響楽団と共演。以降、さまざまなジャンルの人気アーティストが公演を重ねている。目の前に2千席超が広がる光景は圧巻。まさしく晴れ舞台だ。
普段なかなか体験することのない環境で、演奏を紡いだ参加者たち。技量の違いこそあれ、どの人からも精いっぱい弾こうという気持ちや喜びが、演奏態度や奏でる音から伝わってきた。当日は客席を無料開放したのだが、観客はじっと耳を傾け、一組一組に温かい拍手を送っていた。
「ミルハスでスタインウェイを弾きたくて応募した。音が響いて気持ち良かった」「大ホールでコンサートを見て、ステージからどんな景色が見えるのか気になっていた。それを味わうことができた」。演奏を終えた参加者はすがすがしかった。きっと忘れられない思い出になるだろうし、「またあんなステージに立ちたい」と今後の励みになったらうれしい。コンサートなどを鑑賞するだけでなく、一般の方々が演奏したり歌ったりする機会も提供し、広く愛されるホールであり続けられたらと思う。