チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクール入賞。国内外の主要オーケストラとの共演多数。協奏曲のレパートリーは60曲以上。
9月23日のミルハスのグランドオープン特別公演で新日本フィルハーモニー交響楽団と共演したピアニストの小山実稚恵さん。ミルハスに配置されているスタインウエイのピアノ2台は、ことし2月に小山さんの手によって選定された。本番の前々日にミルハスに入った小山さんは「また会いに来ました」と愛でるように2台のピアノを弾いていた。本番では、うち1台を選んで演奏した。
小山さんとはピアノ選定時と今回の公演本番前の2回、インタビューをする機会に恵まれた。超一流の経歴から、芸術家肌で気難しい人ではと思っていたが、一言会話を交わしただけで、その人柄に魅了された。クラシックにはほとんど素人の質問にも真摯に答えてくれたほか、クラシック以外のいろいろな質問にも気さくに答えてくれた。
今回、ミルハスで会った際にも「どーもー。元気でしたか」と気軽に声をかけてもらい、かえって恐縮したくらいである。
小山さんと40年来の付き合いという秋田市のピアニスト山崎圭子さんは「普段は優しくて、エレガントです。しかしピアノに向かうとものすごい集中力を発揮し、決して妥協することのない厳しさを持っています。そのギャップにいつも驚かされます」と話す。
世界を股にかけて活躍するプロとして重い荷物なんか持たないだろうと思っていたが、何せ指と腕が商売道具なのだから。それが自らがかばんを持ち、スーツケースを運び、先頭を切って歩いていた姿にも驚いた。
山崎さんによると「私たちがハラハラするくらい自分のことは自分でやるんです。海外での演奏旅行の経験も豊富で本当に行動力があります。何から何まで世話を焼かれるのは好きじゃないみたい」という。
もちろんプロである。私たちの想像できないような練習を重ねてきたことは容易に想像できる。そんな姿や仕草は一つも見せずに、インタビューに対応してくれたこともまたプロの一面だろう。
公演本番では、ピアノに向かうと凛としたたたずまいで、素晴らしい演奏を聞かせてくれた。観客もその迫力ある演奏に聴き入り、見入っていた。まさに第一人者としての“オーラ”に圧倒された。
今回の公演では秋田に2泊した。夕食では好物というきりたんぽやいぶりがっこ、地場産野菜、魚などに舌鼓を打ったという。
小山さん、またスタインウエイのピアノに会いに来てください。ミルハススタッフ、県民は首を長くしてお待ちしております。