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【スタッフブログ】「劇場へ行こう」#016 創造と想像

2022.07.20

 創造と想像。同音異義語である。ただこの二つの言葉は密接につながっている気がしてならない。
 モノづくりにあたっても、この二つの言葉が鍵を握る。いろいろなピースを組み立てながら一つのモノをつくり上げていくが、完成させるためにはどのような作品にするのかといった想像力が欠かせない。
 長く新聞記者の仕事に従事してきた。記事を書き上げるうえでも、取材した複数の材料を組み立てていくことはもちろんだが、どんな原稿にするかという“最終形”を想像することが大切なポイントになる。
 来年1月に上演する県民・市民参加型ミュージカル「欅の記憶・蓮のトキメキ」の練習に熱が入ってきた。演出を担当する畑澤聖悟さんの指導を間近でみていると、やはり創造と想像の関係を再認識してしまう。畑澤さんの頭の中には場面場面、ミュージカルの全体像が明確に想像できているのだろう。それを一つ一つ具現化していく作業が練習を通じて進められていると感じる。
 ミュージカルの創作過程は初めて目にするが、演出家がキャストのモチベーションを上げていく様子にはプロとしての凄味さえ感じられる。適切な助言を与え、時には自ら演じて見せる。そうするとキャストの表情、声が一変する。いつの間にか、演出家にキャスト全員が引っ張られている。アドバイス一つで大きな変化が起こる様は、まるで演出家とキャストが“化学反応”を起こしながら舞台をつくり上げていくと思えてくるから不思議である。
 ミュージカルの練習はまだまだ続く。演技のみならず、歌唱、ダンスもある。演出家をはじめとする各部門の指導者がどんなタクトを振り、キャストとどんな“化学反応”を起こしていくのか。ますます楽しみである。